AIは人間コーチを超えるのか？」──EKIDEN AIが切り開く新時代のコーチング

May 26

Written By Aziz

近年、あらゆる分野でAIの活用が進み、スポーツの世界も例外ではありません。中でも、ランニング・長距離競技におけるAI活用は、「コーチング」という人間の本質に迫る分野に踏み込もうとしています。果たして、AIは本当に人間コーチを超える存在となり得るのでしょうか？

この問いに、私たちは真正面から向き合いたいと思います。

AIの強み──人間の限界を超える「知識」と「分析力」

EKIDEN AIは、選手一人ひとりの走行データや心拍、ピッチ、VO2maxの推定値といった膨大な情報を解析し、トレーニングメニューを即座に最適化するAIコーチアプリです。

例えば、人間のコーチが経験や勘で判断していた「疲労度」や「回復の兆し」も、AIはデータとして把握します。過去の記録だけでなく、日々変化する身体状態、GPSデータ、睡眠ログなどから「今日はポイント練習を削るべきか？」といった判断を即座に下すことができます。

さらに、過去のトップ選手のデータ、最新のスポーツ科学、ランニング理論──すべてをベースに、個々の選手にとって最も「成果の出る練習」を導き出す。それは、いわば“100人の名将が脳内会議をしているようなもの”です。

ここで考えたいのは、「良いコーチング」とは何か、という根本の問いです。

長距離ランナーにとって、成長や結果には“自信”が不可欠です。その自信は、「自分の状態をわかってくれている存在」との信頼関係の中で生まれます。つまり、優れたコーチとは、選手の内面に寄り添い、時に背中を押し、時にブレーキをかけてくれる“対話者”でもあるのです。

EKIDEN AIは、まさにその「対話」を重視します。

ただメニューを出すのではありません。選手が日々の状態を入力すれば、そのコメントやフィードバックが自然言語で返ってきます。選手が自分の身体を見つめ直し、気づきを得るための“鏡”としての役割も果たします。

私たちは、AIが人間を完全に置き換えるとは思っていません。むしろ、人間が持つ「感情」や「空気を読む力」、長年築いてきた「信頼関係」といった要素は、簡単に再現できるものではありません。

しかし、すべてのコーチが最新のスポーツ科学に精通しているとは限らない。全ての選手にパーソナライズされた練習を毎日組み直せるわけでもない。そこにこそ、AIの価値があります。

AIが身体の状態を可視化し、客観的なデータで選手を支える。人間のコーチがその情報を元に、選手と本音の対話を重ねていく──それこそが、理想のコーチングではないでしょうか。

EKIDEN AIは、ランナーに「気づき」を与え、「迷い」を減らし、「自信」を持って走らせるための相棒です。ただのアプリではありません。「選手の中にいるもう一人のコーチ」として、共に走る存在でありたいと考えています。

「自分はどう練習すれば伸びるのか？」「なぜ最近調子が悪いのか？」「あとどれくらいでベストが出せるのか？」

こうした問いに、正面から、科学的に、そして熱を持って応えてくれるのがEKIDEN AIです。

今後、人間コーチとAIの連携は、さらに進化していくでしょう。選手とAIが“対話”する。コーチがAIを“第二の目”として使いこなす。そんな時代がすぐそこまで来ています。

結論はこうです。

AIは、人間コーチを「超える」のではない。
AIは、人間コーチを「補完し、進化させる」存在なのです。

そして、それこそが──新しい“コーチングの形”なのだと、私たちは信じています。