AIコーチの目が進化しました - より深く、より正確なアドバイスへ
今日は、EKIDEN.AIの大きなアップデートについてご報告させていただきます。これまでEKIDEN.AIは、ランナーの現状と目標を理解し、専門的なアドバイスを提供してきましたが、今回のアップデートにより、過去のアクティビティ履歴や詳細な生体データを総合的に分析した、より個別化されたコーチングが可能になりました。
なぜこのアップデートが重要なのか
これまでのAIコーチングツールの多くは、単発の質問に対する一般的な回答にとどまっていました。ChatGPTやClaudeに「今日のトレーニングはどうでしたか?」と聞いても、あなたの過去3週間の疲労蓄積や、先月のVO2Max向上率、昨夜の睡眠の質までを考慮した回答は得られません。
人間のコーチであっても、膨大な履歴データを完璧に記憶し、同時に運動生理学、栄養学、睡眠科学などの複数分野を統合して分析することは現実的に困難です。EKIDEN.AIは、この「データの包括的活用」という領域で、AIコーチングの新たなマイルストーンを示していると考えています。
新たに考慮されるデータの詳細
今回のアップデートで、EKIDEN.AIは以下のデータを統合的に分析できるようになりました:
健康・生体指標データ(Garmin連携)
移動距離: 日々の活動量と疲労蓄積の指標
ストレス値: 自律神経の状態を反映し、回復度を判断
心拍数データ: 安静時、最大、平均心拍数から心肺機能と疲労状態を分析
日々の運動強度: トレーニング負荷の適切性を評価
パフォーマンス指標
VO2Max: 有酸素能力の客観的指標。改善傾向や停滞期を検出
サイクリング用VO2Max: クロストレーニングの効果測定
VDOT計算: VO2Maxから導出される、より実用的なランニングパフォーマンス指標
身体組成データ(ユーザー入力)
体重、骨量、体水分、体脂肪率、BMI: 体調変化や減量・増量プログラムの効果測定
睡眠分析 - 睡眠時間と質: 深い眠り、浅い眠り、REM睡眠の比率から回復状態を判定
トレーニング計画の調整: 睡眠不足時は強度を下げる提案など
環境データ - 気象情報: 開始地点の温度、湿度、UV指数、降雨、風速
パフォーマンスへの影響: 暑熱順化の必要性や、気象条件を考慮したペース調整
トレーニングゾーン設定
自動ペースゾーン算出: イージー、ロング、閾値、インターバル、レペティションの各ペースを個別計算
個別最適化: あなた専用のトレーニングペース設定
履歴分析機能
期間指定検索: 「過去7日間の活動を見せて」といった自然言語での履歴参照
最大30日間: 約1ヶ月分の詳細データを即座に分析
実際の変化を体感してください
例えば、今朝のランニングについて質問すると:
従来:
「10kmを50分で走りました。どうでしたか?」 →「まずまずのペースですね。次回はもう少し速く走ってみましょう」
新バージョン:同じ質問に対して →
「昨夜の睡眠時間が5.5時間と短く、ストレス値も75と高めです。過去2週間でVO2Maxが3ポイント向上しており体力は上がっていますが、今日の気温は28度と高く、あなたの過去の暑熱環境でのパフォーマンスデータを見ると約8%のペース低下が予想されます。それを考慮すると、今日の50分は実質46分相当の走りです。明日は睡眠をしっかり取って、閾値走を行うのがよいでしょう」
人間とAIの協働の可能性
このアップデートは、コーチングにおけるAIと人間の役割分担を明確にする重要な一歩でもあります。データの包括的分析と客観的評価はAIが得意とする領域であり、これにより人間のコーチは、選手のメンタル面のサポートや、モチベーション向上、技術指導により集中できるようになります。
私たちは、AIが人間のコーチを置き換えるのではなく、コーチとランナーの双方をより強力にサポートする存在になると信じています。
皆さんと共に進化し続けるために
このアップデートは、アーリーアクセスをご利用いただいたアスリートやコーチ、アンバサダーの皆さんの声に真摯に耳を傾け、継続的に小さなアップデートを繰り返してきた結果として実現しました。「もっと過去の記録を考慮してほしい」「体調も含めて判断してほしい」といったご要望に応える形で開発を進めてきました。
今後も皆さんの声を聞きながら、さらに長期的なトレンド分析や、より詳細な専門分野別アドバイスなど、機能を拡張していく予定です。
EKIDEN.AIは、ランナー一人ひとりにとって最も信頼できるパートナーとなることを目指しています。新機能をぜひお試しいただき、ご感想をお聞かせください。
共に走り、共に成長していきましょう。